ドイツパンというパンはある?

仕事の話をする機会があるたびに、いただくことの多い質問のひとつです。あるいは、どれがドイツパンなの?というご質問とか。

ドイツパンの種類の多さは専門の本にもなっているほどですので、これが!というひとつをあげることはできません。代表的なものとしてもブレッツェルやゼンメル、ミッシュブロート・フォルコンブロート・パンパニッケルなどなどいくつも思い浮かびます。

この頃思うのは、ドイツパンは種類の多さを産んだ配合や成形や副材料にとどまらず、その背景にあるドイツの食習慣そのものに特徴があるといえるのかもしれないということです。パンを料理の脇に置いて、一種の添え物として食べてきた私たちには理解しにくいですが、ドイツパンは食卓の主役です。反対にいうと、他に主役があるときには食卓にのぼりません。

どこそこのパン屋で買った〇〇パンがあるから、市場で新鮮なチーズとハムを買い夕食にしよう、という感覚は独特です。でも考えようによっては「手巻き寿司」にも似ていますね。違いは具材を受け止める酢飯に代わって、数百といわれるパンを選択可能な点。この、何をどう組み合わせて食べようかなというヴァリエーションの豊かさこそが「ドイツパン」なのではないかと思います。

加えて、朝ならではとか、季節ならではの「定番」が加わります。静かな住宅街のまだうす暗い早朝にパン屋へ向かう人たち、通勤のひとで溢れる駅のパン屋、飛ぶように売れていくパンはその時々で明らかな傾向があります。列に並ぶ私も、迷うことなくアレにしよう!と心に決めるくらいです。

これを書きながら、さて今晩はどのワインをあけ、どのパンを何と食べようかそれが気になり始めました。ので、続きはまた‥